はじめに

 このゲームは、TRPG初心者向けに作られたファンタジー RPG です。なるべく少ないルールで、手軽に楽しんでもらうことを、第一の目的に作られています。 このゲームを遊ぶためには、最低でも二人が必要です。二人以上ならば何人でも遊べますが、初めての場合は 3 人〜 4 人が最も遊びやすいでしょう。このゲームを遊ぶためには、このルールの他に紙と筆記用具、それにサイコロが必要です。サイコロは 6 面体の普通のサイコロで大丈夫です。できれば、たくさんある方が遊びやすいのですが、最低でも 2 個あれば遊べます。 このルールではサイコロを一個振る事を1D と書きます。3 個振る場合は 3D です。 このゲームを遊ぶ仲間のうち、一人がゲームマスターになります。他の仲間はプレイヤーです。ゲームマスターはゲームの舞台を整え、ストリーを考え、プレイヤー以外の登場人物を準備します。ゲームマスター以外の仲間はプレイヤーで、プレイヤーはそれぞれ一人の冒険者を演じます。

冒険者になる

 プレイヤーはそれぞれ、自分の演じる冒険者がどんな人物なのかを決めなければなりません。まずは冒険者の基本的な力を決めます。この基本的な力を能力値のと呼びます。能力値には 6 つの種類があります。

  • 筋力 (STR) 冒険者の筋力を表します。
  • 器用度 (DEX) 冒険者の素早さや手先の器用さを表します。
  • 知覚力 (PER) 冒険者の注意力や観察力を表します。
  • 生命力 (LIF) 冒険者の生きる力、死ににくさや、持久力を表します。
  • 精神力 (MEP) 冒険者の心の強さ魔法の適正を表します。
  • 知力 (INT) 冒険者の頭の回転の速さや記憶力を表します。

 冒険者は全部で 45 点の能力値を持っていますので、これを 6 つの能力値に振り分けます。この時 2 つのルールがあります。 一つは能力値は5よりも小さくしてはしてはいけないということ。もう一つは、一つの能力値は最高でも 10 までということです。この制限は冒険者が初めて冒険に登場するときにだけ適用されますので、冒険が始まったあとでは、10 よりも大きくなることはあります。

特技

 能力値が決まったら、次は特技を選びます。特技は、次の中から二つ選びます。

剣術 この特技を選んだなら剣や斧、槍などの武器で戦うとき、サイコロの目に冒険者レベルの半分(端数切り上げ)を足すことができます。また、武器の攻撃力にも冒険者レベルの半分(端数切り上げ)を足すことができます。

弓術 この特技を選んだならば、弓やスリングなどの飛び道具で戦うときに、サイコロの目に冒険者レベルの半分(端数切り上げ)を足すことができます。攻撃力にも冒険者レベルの半分(端数切り上げ)を足すことができます。

格闘術 この特技は、武器を使わない素手での戦闘でサイコロの目に冒険者レベルの半分(端数切り上げ)足すことが出来ます。また、素手での攻撃力にも冒険者レベルの半分(端数切り上げ)を足すことが出来ます。蹴りや組み付いての攻撃にもこの特技は有効です。

隠密 / 偵察 この特技を選んだならば身を隠したり、忍び歩きしたり、あるいは遠くの物をみたり、する判定の時に、サイコロの目に冒険者レベルの半分(端数切り上げ)を足すことができます。

運動 / 回避 この特技を持っている冒険者は身軽で、壁をよじ登ったり、敵の攻撃を回避したりすることに長けています。これらの成功チェックで冒険者レベルの半分(端数切り上げ)を加えることできます。また回避力にも冒険者レベルの半分を加えることができます。

機器操作 / 罠解除 未知の機器を操作したり、罠を解除したりする特技です。

交渉 この特技を選んだ場合、ゲームの登場人物と交渉したり、説得したりするときにサイコロの目に冒険者レベルの半分(端数切り上げ)を足すことができます。

博学 この特技を持っている冒険者は非常に物知りで何かの知識に関する成功チェックでは冒険者レベルの半分(端数切り上げ)を加えることができます。

攻撃魔法 この特技を選んだ場合、攻撃用の魔法をひとつ使えるようになります。どの魔法が使えるようになるかは、後の魔法のルールの、攻撃魔法の中から選んでください。

回復魔法 この特技を選んだ場合は、回復用の魔法の中からひとつの魔法が使えるようになります。

回避と魔法防御

 キャラクターが攻撃されたとき、それを防ぐ能力が回避力です。回避力は通常はその冒険者の器用度(DEX)に5を加えたものです。運動 / 回避の特技を持っている場合はさらに冒険者レベルの半分(端数切り上げ)を加えることができます。また盾を装備していると回避力にはボーナスが付きます。(重い鎧はマイナスされます。) また、魔法にさらされたときに、それを防ぐ能力が魔法防御です。これは精神力(MEP)に5を加えたものになります。

装備

 冒険者は最初の装備として次のものを持っています。 普通の衣服、ダガー、背負い袋、ほくち箱と着火用具、水筒、毛布、保存食6食分、普通の傷薬が2本(飲むと負傷が1段階治ります)。
 現金は 金貨 を1d6 (サイコロ1個分)枚持っています。
更に初期の武器として、(ロングソード・ショートボウ・バトルアックス)の中から一つを選べますが、三つの武器のどれも選ばない場合は、追加で金貨5枚を持てます(金貨1枚は、日本円で10,000円、銀貨は1,000円、銅貨は100円ぐらいです)。

武器表
武器の名前
能力値
威力
金貨
ショートソード
DEX
+3
5 枚
ロングソード
DEX
+4
8 枚
グレートソード
STR
+7
15 枚
バトルアックス
STR
+5
7 枚
グレートアックス
STR
+6
12 枚
スピア
DEX
+4
6 枚
ダガー
DEX
+2
2 枚
クラブ
STR
+1
1 枚
スタッフ
DEX
+1
1 枚
パンチ
DEX
0
0 枚
キック
STR
0
0 枚

※グレートソード、グレートアックスは両手用

防具表
鎧の名称
防御点
回避力
魔法発動
金貨
キルト
1
なし
なし
2 枚
レザー
2
なし
-1
6 枚
チェイン
5
-1
-3
20枚
プレート
7
-2
-4
50枚

盾表
盾の名称
回避力
防御点
金貨
バクラー
+2
なし
2枚
スモールシールド
+2
+1
3枚
ラージシールド
+1
+2
5枚
ウォールシールド
+1
+3
8枚

※ウォールシールドを装備すると、攻撃時の達成
値から1を差し引きます。

飛び道具表
武器の名称
能力値
威力
金貨
ショートボウ
DEX
+2
5枚
ロングボウ
DEX
+4
8枚
クロスボウ
DEX
+4
12枚
スリング
DEX
+1
1枚

※クロスボウは 2 ターン 1 回しか攻撃できない

魔法を選ぶ。

攻撃魔法か回復魔法を特技とし選択している場合は、使える呪文を一つ選びます。攻撃魔法と回復魔法の両方を持っている場合は、それぞれ一つづつ選択しま。ここで選択した魔法が、冒険で使用できる魔法です。

攻撃魔法

炎の突風 : 消耗 9 1 つのポジションの敵全員に炎の攻撃 威力 +2
光弾 : 消耗 11 敵一体に攻撃 威力 0
突風 : 消耗 10 敵 2 体に攻撃 威力 +1
雷撃 : 消耗 9 敵一体を攻撃 威力 +5

回復魔法

負傷治療 : 遠隔 消耗 11 1 人の負傷を 1段階回復させる。
解毒 : 遠隔 消耗 11 1 人の毒を解毒する。
範囲治療 : 消耗 9 遠隔 1 つのポジションの全員の負傷を 1 段階回復させる。
亡者放追 : 遠隔 消耗 11 不死者ひとりに遠隔攻撃 威力 +5

冒険者レベル

 作ったばかりの冒険者は冒険者レベルが1です。冒険者レベルは冒険の成果として経験点を集めることによって上昇します。冒険者レベルは次の冒険者レベルの百倍の経験点を集めることによって1上昇します。(レベル1から2は200点、2から3は300点必要です。
冒険者レベルが、偶数のレベルに達する度に能力値のどれかを1上昇させることができます。また、冒険者レベルが5の倍数に達する度に、新たな特技を習得できます。もしくはすでに持っている特技を強化できます。特技が強化されると、その特技に関して冒険者レベルの半分ではなく、冒険者レベルそのものを加えることができます。何らかの魔法の特技を持っている場合は、能力値上昇の代わりの新しい呪文を覚えることもできます。もしも、複数の魔法の特技を持っている場合はそれぞれについて新しい呪文を使えるようになります。

成功チェック

 冒険の途中で、冒険者がうまく行動できたかどうかを決めなくてはならない時があります。例えば狼の群れに追いかけられててとっさに木に登って避けようとする場合などうまく登れたかどうかの判定が必要です。ゲームスターは、このようなときには成功ックをプレイヤーにしてもらうことができます。例えば「君たちが追いかけてくる狼を避けるために手近な木を登るたには筋力(STR) で成功チェックをしてください !」という具合です。成功チェックでは、ゲームマスターは、その行動の難しさを慮してチェックの目標値も宣言します。通常は 13 から 18 くらいが適当ですが、簡単な行動の場合はより小さく、難しい行動の場合はより大きな目標値を宣言します。ゲームマスターが目標値を宣言しない場合は、自動的に目標値は 15 になります。
 プレイヤーは2D(サイコロ 2 つ ) を振り、これに成功チェックに使う能力値 ( 先程の例では筋力(STR))を足すことによっゲームマスターが宣言した目標値以上になればそのチェックは成功です。このときに計算した結果を達成値と呼びます。成功チェが使える場合は、さらに冒険者レベルの半分を2Dに足すことができます。一般に目標値よりも大きな達成値になるほど その成チェックは良い結果になります。達成値から目標値を差し引いた差を成功度と呼びます。目標値ギリギリで成功した場合は、成功は0です。また成功チェックのサイコロの目が 6 ゾロのときは自動的に成功します。逆に1ゾロのときは自動的に失敗します。

クリティカル

 成功チェックの時にサイコロの目がゾロ目で成功した場合はよりよい成功になります。これをクリティカルと呼びます。クリティカルが発生した場合は、成功チェックの成功度は2倍になります。(残念ながら成功度 0 のぎりぎり成功はクリティカルでも成功度は変わりません。)

戦闘

 冒険の途中で、モンスターやその他の敵と戦うことになった場合は、戦闘シーンになります。ゲームマスターは「じゃあ、ここから戦闘シーンです!」と宣言して戦闘シーンの始まる状況を説明します。シーンの場所や敵の様子、数などを冒険者はたちに教えましょう。敵の能力値などは教える必要がありません。ゲームマスターの重要な仕事の一つが、冒険者であるプレイヤーたちに知らせる情報と知らせない情報を調整管理することです。
戦闘シーンではまず、冒険者は自分自身のポジションを宣言します。戦闘のポジションには前衛、中衛、後衛の 3 つが有りす。

前衛 剣や斧などの直接敵を攻撃する武器で戦えるのは前衛だけです。また、魔法や飛び道具などの攻撃手段を持たない敵から攻撃を受ける可能性があるのは前衛だけです。
中衛 弓などの飛び道具や魔法での攻撃が可能なのが中衛です。中衛は最低でも前衛が一人いる場合にのみ宣言できます。戦闘シーンの途中で、前衛が居なくなってしまった場合は中衛は自動的に前衛にポジション変更されます。
後衛 後衛は中衛と同じように飛び道具と魔法による攻撃が可能なポジションです。ただし、後衛は敵からの距離が最も離れているので、飛び道具や魔法で攻撃を行う際に、攻撃の成功チェックで目標値が+2されます。

戦闘ターン

 戦闘シーンが始まり、全員のポジションが決定したならば戦闘ターンを始めます。戦闘ターンでは冒険者全員が 2D6 を振り、の目に器用度(DEX)を足します。この結果をイニシアティブと呼びます。ゲームマスターは敵のイニシアティブを決めます。こうして決定したイニシアティブの高い者から行動を行います。イニシアティブが同じ場合はプレイヤーの冒険者が優先的に動きす。

行動

 戦闘ターンの行動は、『攻撃』『魔法』『ポジション変更』『その他の行動』『何もしない』のどれかです。各冒険者は1ターにこのどれかひとつしかおこなえません。戦闘シーンに登場している全員が行動が1回づつ終われば、その戦闘ターンは終了で、新しい戦闘ターンが始まります。

『攻撃』

 行動として攻撃を選んだ場合は使用する武器に合わせた能力値の成功チェックをします。このときにその武器に関する特技を持っている場合は冒険者レベルの半分を、足すことができます。この成功チェックの目標値は相手の回避力になります。結果が相手の回避力を以上であれば攻撃は命中します。攻撃が命中した場合はその成功度に使用した武器の威力を足します。相手が鎧を身につけていたりして防御点がある場合は、これを差し引きます。結果が1以上の場合は相手は軽傷を負います。結果が相手の生命力の半分以上の場合は重傷す結果が生命力以上の場合は致命傷です。そして最後に結果が生命力の2倍以上の場合は、相手は即死してしまいます。攻撃は弓などによ飛び道具の攻撃も同じように解決します。

『魔法』

行動として魔法をえらんだ場合は、魔法を 1 つ使うことができます。まず使用する魔法を選んで精神力(MEP)で成功チェックをおこないます。魔法が攻撃魔法の場合は、相手の魔法防御が目標値になります。攻撃魔法が命中した場合、通常の鎧などの防具は効果を発揮せん。魔法の鎧の場合は通常通りに防御力を発揮します。攻撃魔法が相手に与えるダメージの計算方法は通常の武器による攻撃と同じす。攻撃魔法以外の魔法の場合は、成功チェックの目標値は 15 です。ゲームマスターは状況にあわせてこの目標値を変更しても構いせん。
魔法を使用するときに振った二つのサイコロの目の合計がその魔法の消耗値以上だった場合は、魔法を使った冒険者は魔力消耗を起こします。魔力消耗は何かに影響するとはありませんが、魔力消耗状態でもう一度魔力消耗の結果を被ると魔力が完全に枯渇し、魔法が使なくなります。消耗や枯渇した魔力は、一晩の睡眠(6 時間以上)で完全に回復します。

『ポジション変更』

ポジション変更は要するに戦場内での移動です。ポジション変更をおこなう場合は、1 つだけポジションを変更することができます。例えば中衛→前衛などです。後衛→前衛は一度の戦闘ターンでは変更できません。また前衛は自分が唯一の前衛の場合はポジション変更できません。ポジション変更に特別な判定は必要ありません。ただ宣言すればポジション変更は完了します。

『その他の行動』

かばんの中のアイテムを使ったり、部屋を捜索したり物陰に隠れたりする行動がその他の行動です。これは内容に合わせてゲームマスターが成功チェックを要求しても構いませんし、そのまま行動を認めても構いません。

『何もしない』

冒険者は何もしないことを選んでも問題はありません。『何もしない』を選んでも次の戦闘ターンで行動を 2 回行ったりはできません。

負傷の影響

戦闘の結果などで負傷した場合は、次のような影響があります。

  • 軽傷・・・ほんのかすり傷です。冒険者なら騒ぎ立てするほどのことはありません。冒険者ではない一般人が軽傷を受けた場合は、精神力(MEP)で目標値 15 の成功チェックをします。これに失敗するとパニック状態になったり、逃げ出したりします。
  • 重傷・・・酷い傷です。重傷を負うとあらゆる成功チェックで目標値が+ 2 されます。また既に重傷を負っている冒険者が再び重傷を負うと致命傷になります。
  • 致命傷・・・命に関わる状態です。あらゆる成功チェックで目標値が+ 5 修正されます。致命傷を負ったものは、回復できなければ数時間後に死亡します。
  • 即死・・・文字通り、攻撃を受けた刹那に死亡します。

負傷の回復

 負傷は傷薬を飲む以外に、じっくり睡眠をとることでも回復します。宿屋で 6 時間以上の睡眠をとると負傷は 1 段階回復します。重傷でも二日で治る計算です。キャンプを張って睡眠をとっても回復しますが、その場合は生命力(LIF)で目標値 15 の成功チェックに成功しなくてはなりません。