「君たちの前には幅4メートルくらいのクレバスが行く手を遮ってるよ」
「じゃあ、飛び越えます!」

こんな時、うまく飛び越えられたかどうか、それを決定するのが以下の行為判定のルールです。
 ゲーム中で何らかの行為が成功したか否かの判定を行う場合は、技能判定、能力値判定、無作為判定の基本3種類の判定のどれかを行います。また、これらの判定の特定のケースでは対抗判定を行う場合もあります。

数種類の判定のうち無作為判定は行う行為の成否が全くの偶然に左右される場合など、誰が行っても起こり得る結果の可能性に差異のない行為の判定に使われます。例えばサイコロを振ってゾロ目を出すという行為の判定では、魔法を使ったりイカサマダイスを使ったりしない限りは、誰が振っても結果の可能性には変わりはありません。このような行為判定を無作為判定と呼び、基本的にはゲームマスターが自由に成功率(%)を決定します。

行為判定の基本

行為判定は基本的にその行為を行うプレイヤーが%ダイスを振って解決します。このダイスの目が成功率以下が出れば行為判定に成功します。
成功率は能力値判定の場合は基本能力値×最終成功倍率、技能判定の場合は基本能力値の半分×最終成功倍率となります。

行為判定の自動的失敗

行為判定において100の目は常に失敗です。
また 成功率110%未満の場合は96以上のダイスの目は自動的に失敗です。
成功率110%以上の場合は、自動的失敗の確率が1%減ります。この自動失敗の減少は成功率が10%上がる度に1%減少します。但し、100の目は常に失敗なのは変わりません。 例えば、成功率が125%の行為判定は自動的失敗は2%減って98以上のダイスの目の場合となります。従って成功率が140%以上ならば自動的失敗は100の目だけになります。

致命的失敗

行為判定のダイスの目が成功率よりも大きく、なおかつゾロ目(10の位と1の位のダイスが同じ目)の場合は致命的失敗となります。致命的失敗は通常の失敗よりもひどい状態になりますが、その行為の致命的失敗が特にルールに定められていない場合はゲームマスターが判断します。そのときの状況によって、普通の失敗と同じような結果としても問題ありません。

効果的成功と決定的成功

成功率の半分以下のダイスの目が行為判定で出た場合、それは効果的成功となり通常よりもよい結果がもたらされます。 その行為の効果的成功が特にルールに定められていない場合はゲームマスターが判断します。そのときの状況によって、普通の成功と同じような結果としても問題ありません。
 また、ダイスの目が成功率の1/10以下の場合は決定的成功となります。これは効果的成功よりもさらによい結果を表しています。決定的成功についても、 特にルールに定められていない場合はゲームマスターが判断します。そのときの状況によって、普通の成功と同じような結果としても問題ありません。

成功倍率と最終成功倍率

 行為の成功の難しさは成功倍率と呼びます。成功倍率は小さいほど難しい行為を表しています。平均的な行為の成功倍率は5です。この成功倍率5は標準的な人間が6割程度成功する難しさです。ゲームマスターは行われる行為の難しさにあわせて成功倍率を変動させることができます。また技能判定においては成功倍率5は、親方(マスター)クラス(技能レベル5)の技能を持つものが7割~8割程度成功するものです。中堅どころの戦士や職人(技能レベル3)は6割程度の成功率です。

 成功倍率は常に整数で表しますが負の値をとることもあります。ゲームマスターはその行為の難しさを適宜に判断して、成功倍率を決定します。また、行為によってははじめから成功倍率が定められている場合もあります。

 成功倍率にさまざまな修正を加えて、技能判定の場合は使用する技能レベルも加えて、最終成功倍率を求めます。最終成功倍率は負の値にはなりません。最終成功倍率がゼロもしくは負の値になる場合、行為の成功率は最低保証成功率(基本能力値の半分)となるか、もしくは行為自体が不可能となるかです。

行為判定早見表

要求技能レベル
成功率
成功率の保障
満たしている。能力値×1/2×(技能レベル+成功倍率)あり
(基本能力値×1/2)
満たしていない。能力値×1/2×(技能レベル+成功倍率)×1/2なし
要求技能レベルが無い。能力値×1/2×(技能レベル+成功倍率)あり
(基本能力値×1/2)
能力値判定基本能力値×成功倍率あり
(基本能力値×1/2)

能力値判定(能力値ロール)

 その行為の成否がキャラクターの基礎的な能力、(腕力や持久力、頭の回転の速さなど)によって決まるものは、その能力値で判定を行います。能力値での判定の基本的な成功倍率は5となります。ゲームマスターは、この成功倍率をを状況に合わせて変動させることができます。難しい行為では小さい成功倍率を、簡単な行為ではより大きな成功倍率を適用します。

※ 能力値判定では能力値×最終成功倍率がその行為の成功率(%)になります。

また能力値判定では要求技能レベルはありません。最終成功倍率が0以下になった場合は、最低保障成功率(能力値の半分%)を認めるかどうかはゲームマスターの判断にゆだねられます。

 能力値判定の表記方法として、本ルール内や、各種図表、シナリオなどでは能力値の種別の後に( )で括った成功倍率を記載します。例えばSTR(5)と記載されていれば、STRで成功倍率5の判定を行うということです。

キャラクターシートの基本能力値の欄には、能力値と成功倍率を掛け合わせた結果を記入する欄があります。

技能判定(技能ロール)

 その行為が何らかの技能によって判定すべき時は、この技能判定を行います。技能判定を行う場合ゲームマスターは、どの技能を使用するかと、行為の成功倍率それに要求技能レベルを宣言します。技能判定においても成功倍率は基本が5となります。要求技能レベルは1が標準ですが、ない場合もあります。

※ 技能判定の基本的な成功率は[基本能力値✕1/2✕(技能レベル+成功倍率)]%となります。ただし技能レベルが要求レベルを満たしていない場合は、成功率は半分になります。(端数切り上げ) 

技能判定の表記方法は〈技能名〉(成功倍率/要求技能レベル)になります。

例えば〈植物知識〉(5/1)ならば〈植物知識〉技能で成功倍率は標準の5、要求技能レベルは1(つまり技能を持っていない場合は成功率が半減)となります。

要求技能レベル

 技能判定には、要求技能レベルという基準があります。これは行う行為の難しさを表す意味では、成功倍率と同じようなものですが、要求技能レベルは段階的に進む技能の習得において、その行為が既に学んだレベルのものであるかどうかを表しています。従って、 要求技能レベルが1よりも大きな行為は、その道の駆け出しの者にとっては、未知の行為であったり、知識であったりします。 要求技能レベル以下の技能しか持たない者にとって、その行為は、過去の経験や知識から類推して対処しなければならないようなものです。これを反映するために、 要求技能レベルを満たせない状態で行う行為判定の成功率は自動的に½になります。また、要求技能レベルを満たせない状態で最終成功倍率がゼロ以下になった場合は、その行為判定は自動的に失敗します。
 通常、運動系技能と知覚系技能には要求技能レベルはつきません。

容易な行為に対する技能判定

技能判定の要求技能レベルは通常は1が最低ですが、特定の技能やとくに容易な行為の場合は、要求技能レベルを設けないことがあります。(つまり要求技能レベルなし)そのような技能判定の場合は、当然要求技能レベルのを満たせないことによる成功率の半減は起きませんし、例え最終成功倍率がゼロ以下になっても、最低保障成功率が適用されます。(つまり関連の能力値の半分%の成功率で行為判定を行えます)

非常に難しい行為

 技能判定を行う行為で、要求技能レベルが5以上の行為は非常に難しい行為です。非常に難しい行為は、技能を持っていない場合は、能力値だけで行為を試みても自動的に失敗します。ダイスは振りません。1レベルでも技能を持っていれば、通常の要求技能レベルの制限(成功率半減)を受けるのみです。

複数の技能をセットで使う

ときには、複数の技能に関わる行動を判定する必要があるときがあります。そのような時は複数の技能のうち、最も技能レベルが低いものを用いて判定を行います。例えば馬に乗っている状態で敵をランスで攻撃する場合、<長槍><乗馬>のどちらか低いほうの技能レベルを成功倍率に加えることになります。そのほかの成功倍率に関する修正は<長槍><乗馬>の両方に対数る修正が加えられます。

その他の行為判定

対抗判定

2者以上の参加者が対抗して行為判定を行うことを対抗判定と呼びます。対抗判定では両者が、それぞれ行為判定を行い、その成功の度合いを比べます。その成功の度合いがより高いほうが対抗判定に成功(競り勝つ)します。たとえば二人の戦士が腕相撲をするような場合はどちらもSTRの能力値判定を行います。この判定で片方が通常の成功、もう片方が効果的成功であった場合は、効果的成功を出した戦士がこの対抗判定の勝者となります。どちらも同じ場合は、判定は膠着し、再度判定を行います。対抗判定時のそれぞれの成功倍率も基本は5ですが、当然諸条件により修正されます。
 また、対抗判定は必ず同じ技能や能力値でおこなうと限られている場合ではありません。例えば酒場でのカード遊びである男がイカサマをしようとしたとき、イカサマをする男の<手先>とそれを見破る男の<視力>の対抗判定になります。

協力しての行為判定

ある特定の行為判定に複数人で協力する場合は、それぞれが別に判定を行うか、主になる人物を決め、それ以外の判定の参加者をその支援として判定する場合があります。
たとえば、冒険者の一行が山賊の集団に待ち伏せされているのに気づくかどうかの<視力>判定を行う場合、各キャラクターがそれぞれ個別に<視力>判定をおこなうのが自然です。また、別の例として街道を塞いでしまっている倒木を動かそうとしてSTRの能力値判定をする場合は、ひとりを主な人物にきめ、その他の人物は支援役として能力値判定でもかまいません。このように支援役を決める場合は、主な人物の能力値に支援役の能力値の半分を加えることにします。ゲームマスターはこうした支援役を何人まで使えるかは、その状況によって判断します。たとえば倒木の除去が極めて狭い場所で行わなければならない場合は支援役はひとりだけとすることも出来ますし、ひらけた場所で足場も安定している場合は5人までの支援を認めるなどという場合もあるでしょう。あるいはメインの人物(能力値を半減しない)を増やしてもかまいません。このような複数人物の行為判定では、その能力値や技能を合計して、1回の判定で結果を決めます。

継続的な行為判定

行為判定によっては継続的な作業が必要なものもあるでしょう。このような行為の判定は必要な成功数を予め決めておいて、その回数成功が達するまで行為判定を行うことにします。またこのような場合、大抵はその所要時間が重要になってきますので、例えば畑を作るために整地するという行為をSTRの能力値判定で行うとしたならば、「十分な整地には能力値判定には4回の成功が必要で、1回の試みに30が費やされる。」といた風にゲームマスターは必要な成功数と、試行1回の経過時間を決めます。
 継続的な行為判定では、効果的成功や決定的成功が出た場合は、それぞれ、成功2回、成功3回として数えることにしてもかまいません。

代表的な行為判定

最も代表的な行為判定は戦闘や魔法に関するものですが、それらについては別章で、詳しく解説しますので、ここでは、それ以外の代表的な行為判定の例を示します。

なお、ここで示す行為判定に関するルールは、いわば一種のガイドラインのようなもので、ゲームマスターは、その時のゲームの状況やプレイスタイルによって、一部を変更したリ、あるいは全く使わなくても構いません。

知覚判定

キャラクターが何らかの情報に気づいたかどうか?例えば、こっそり忍び寄る暗殺者の足音、遠くの篝火、草むらの罠、地下迷宮の隠し扉、こういったものに気づいたかどうかは知覚系技能能判定を行います。通常の知覚判定は、判定の瞬間に気がついたかどうかを決定するものです。時間をかけて気づくかどうかは、捜索判定を行います。

<視力><聴力>
この二つの技能は関連基本能力値がENPですが、キャラクターが、何かを積極的に探す場合は、ENPの代わりにINTかWILを使うことも出来ます。また、視力や聴覚などに特典を持っている場合は、その分だけ成功倍率をを修正できます。

<視力>判定の成功倍率修正例
辺りが薄暗い -2
目標が小さい -2
目標が動いている +2
目標が光を放っている +2(低光量下)

<聴力>判定成功倍率修正の例
辺りが騒がしい(街中の喧騒、野外での風の音や激しい雨) -2
周りが非常に静か (風のない砂漠など) +2
音が反響する(洞窟内など) +1
音源が環境音とはかけ離れた音 +1

捜索判定

捜索判定は一種の知覚判定ですが、より能動的に具体的な対象を探します。たとえば野山で薬草を探す判定を考えて見ましょう。よほど匂いのキツイ薬草でない限りは探すの使用するのは<視力>技能になります。しかしながら、薬草の具体的な外見を知らないとしたならば、<視力>だけでは探すことが出来ません。探す対象や探す場所について十全に知っていることが必要になります。

たとえば外傷に効く、殺菌効果のある薬草「ヨドラン」をさがすとしたとき、「ヨドラン」の外見や生えている場所を知らなくては、なかなか探せません。このようなときには<薬草学>や<植物知識>が必要になります。ゲームマスターは次のように判定することにします。
GMまずは<薬草学>の判定をしてください。「ヨドラン」はそれほど珍しい薬草ではないので成功倍率は7で結構です。<薬草学>を持っていない場合は<植物知識>でも代用可能です。その場合は成功場倍率は5になります。」

捜索判定では探す対象がより具体的に判っているほうが、成功倍率が高くなります。また、捜索対象を複数発見する必要がある場合は、継続的な行為判定として必要な成功数を決めておいてもよいでしょう。

「なんとか「ヨドラン」の自生条件と外見を思い出すことが出来たので<視力>で成功倍率7の判定にしよう。(外見だけ思い出したら成功倍率は5だったけど、植物知識で自生条件まで思い出したので7にしておく)1回成功する度に一株の「ヨドラン」を発見できるよ。効果的成功なら2株、決定的成功なら3株だ。(致命的失敗ならよく似た別の毒草でも手に入れることにしておくか。。。)
 1回の捜索には30分の時間が必要だよ。さあ、サイコロを振って。」

隠密判定

物陰に隠れたり、忍び歩きしたりすることを隠密行動とよびます。隠密行動は<隠密>の技能判定で行います。この技能判定は、基本の最高倍率は5、要求技能レベルはありません。
 物陰が隠れやすいものだったりする場合は、この成功倍率は上昇し、隠れにくいものや不十分なものの場合は減少します。
例えば、深い藪に身を潜めれば+2、浅いくぼみに伏せるだけならー2などという風になります。
忍び歩きにして尾同じです。地面が湿った土などならば足音が立ちにくいので+1、板張りの廊下などであればー2などになります。(実際の成功倍率の修正はゲームマスターが適宜に決定します。)

知覚対隠密

<隠密>によって隠密行動をとっている対象を知覚判定の対象とする場合は、<隠密>の成功度を上回る成功を知覚判定で出せた場合のみ、対象を知覚することが出来ます。たとえば<隠密>に効果的成功して忍び歩きしている対象を発見するためには<聴力>で決定的成功を出さなくてはなりません。対象が忍び歩きでなく、普通に歩いている場合は、その足音に気づくためには通常の成功で問題ありません。

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