クフルヴィア世界には、様々な動物や植物、異種族、それにモンスターがいます。彼らは、単なる敵対勢力ではなく、それぞれが自身の生活スタイルを持ってクフルヴィア世界に生活しています。

種族特典と弱点

 異種族の中には種族特典と呼ばれるものを持っている種族がいます。種族特典は恩寵特典と同じような効果を持つものが多いのですが、恩寵点は関係なく、その種族ならば基本的に全ての個体がそれを持っています。
 また、特典ではなく弱点を持っている種族もいます。

体格修正

 種族によっては人間よりも大きかったり小さかったりします。この標準的な体格の差を体格修正と呼びます。成人の人間の体格修正はゼロです。それよりも大きくなるとプラスの修正が、小さくなるとマイナスの修正が課せられます。体格修正はヒットポイントの決定や、戦闘や知覚の目標になた時に使用されます。

体格修正とヒットポイント

 体格修正がプラスになるとヒットポイント決定時のCONに加える数字が増えます。また逆にマイナスになると減少します。

体格修正表

体格修正ヒットポイント参考例
-2CON小型犬、
-1CON+5ゴブリン、中型犬
CON+10人間、オーク、エルフ、ドワーフ、リザードマン、大型犬、豚、鹿
+1CON+15オグル、馬、大型猫類、熊
+2CON+25トロル、象
+3CON+45巨人
+4CON+85
幼体と体格修正

種族の幼体(子供)は成体(親)の体格修正よりも1小さくなります。例えば人間の子供は体格修正が−1になります。つまりヒットポイントはCON+5で算出します。

移動力

戦闘ターンの行動として移動する速さが移動力で、これは種族によって決まっています。また走行移動したり、疾走移動する場合の移動距離の変動も種族によって違います。また、動物やモンスターなどの種類によっては疾走移動や走行移動を行えない種も存在します。

オーク族


 鉄の種族の末裔とも考えられているオーク族は、猫背気味で通常の人間族よりも少し背が低く、がっちりした体型をしています。肌は褐色で瞳は暗緑色か胴色です。また、夜目が利き、毒に対する耐性を持っています。
 オーク族は、部族社会を構成し、クフルビア各地に暮らしていますが、その最大の居留地はラムスル大公国の北側に広がるオーク森です。またアルビヌウス皇国の北部から北方辺境の間の山岳地帯には北方オークと呼ばれる、大型のオーク族が暮らしています。
  また、オーク族は一般に他の人型種族に比べて、文明はそれほど発達しておらず、新石器文明程度です。勿論、貨幣経済も存在せず、原始的な狩猟採集生活を行っています。冒険の途中で遭遇するオークたちの中には、金属の武器や防具を身に着けている者もいますが、それはほとんどの場合、他の種族から奪ったものです。言語はオーク語と呼ばれる言葉を使用しますが、文字の使用は一部のハイオークと呼ばれる者たちだけのものです。また、オーク語は地域による方言がひどく、北方オークと中原オークでは、ほとんど意思疎通できないレベルです。そのため、ルール上では、別の言語として考えます。ハイオークと呼ばれる、オークの中では比較的文明の進んだ者たちの中には人間の言葉を使うことができる者もいます。また、ハーフオークと呼ばれるオークと人間の間に生まれた者達の中には、母親から受け継いだ人間の言葉を話すものも少なくありません。

オークの社会


 オーク族は一夫多妻制の家族構成を基本とし、家族がいくつか集まって数十から200人程度の部族を作っています。また、オーク族の男女比は、ほぼ半々になっているため、妻を持てるのは屈強なオークのみで、妻帯しないオーク男性は他種族の女性を襲って、子をなす場合があります。こうした経由で、オークの血が半分だけ混じったハーフオークが生まれます。また、妻帯しているオークであっても、自らの嗜好で他種族の女性と子をなす場合があります。オークは、大抵の人型種族と生殖することが可能ですが、卵生のリザードマンとは不可能です。また、トロールなどの大型種族は生殖可能ですが、彼らの嗜好には合いません。また、オーク女性はオーク族以外と生殖はできませんし、行いません。従って、全てのハーフオークは父親がオークで母親が他種族の組み合わせになります。
 オークの男性の部族内での格付けは、狩の成果や他部族との戦闘の結果としてなされますが、族長の選抜は、いわゆる「オーク相撲」とよばれる素手での格闘試合で決定されます。また、他部族との戦闘でオーク女性を略奪してきたオーク戦士は、そのオーク女性を妻となし、格を上げることができます。

オークのNPC

 オークをNPCとしてゲームに登場させる場合は、以下のサンプルを参考にしてゲームマスターが設定してください。
 オークのプレイーキャラクターは現状のこの基本ルールでは取り扱いません。

オークの基本能力値

成人のオークの基本能力値は以下のように決定します。
STR 8+2D6
QUI 4+2D6
DEX 5+2D6
CON 8+2D6
INT 4+2D6
ENP 6+2D6
WIL 7+2D6
CHA 6+2D6

ヒットポイント(HP)はCON+10
移動力 2(2APで2メートル移動)
サイズ修正 なし

ヒットポイントと移動力は人間と同じですが、CONが人間より高いので、HPは人間より高めになります。

 オークの女性はSTRが2低くなり、DEXとQUIがそれぞれ1高くなります。

オークの種族特典

オークは≪夜目が聞く≫≪毒への耐性≫の二つの種族特典を1レベル持っています。これらの効果については恩寵特典の同特典と同じです。

戦士オーク

 オークの男性は、基本的にすべて戦士にして狩人です。普段は森や荒野の動物を狩って部族の食料としています。また、他部族との争いや、他種族との戦闘においては、その頑強さで力強い働きをします。
 オークの戦士は通常は粗末な武器と革の鎧を使用します。好んで使われるのは、石斧です。

戦士オークのサンプルキャラクター

基本能力値
STR 15
QUI 11
DEX 12
CON 15
INT 11
ENP 13
WIL 14
CHA 13

HP 25  AP 13  MP 14
重傷値 7 致命傷 13 基本回復量 5

技能
<片手斧ー2><拳撃ー2><戦闘経験ー2><視力ー2>
<狩猟ー1><聴力ー1><追跡ー1><オーク語会話ー4

装備
石のバトルアックス(通常のバトルアックスから鋭利度ー1、耐久度ー20)
毛皮の胴着(ヘビーハイドチュニック)
皮の水袋
保存食(謎肉やキノコ、魚の干物)

女性オーク

 出産可能になった女性オークは、その父親が適切な時期に部族の戦士オークの誰かに嫁がせます。嫁いだオーク女性は、その家族の労働力となり、森で木の実を集めたり、川で魚を獲ったりして、家族の食料を調達します。女性オークも戦うことはできますが、それはあくまで、家族を守るためとなります。男性の戦士オークのように、他の部族や他種族を襲ったりはしません。

女性オークのサンプルキャラクター

基本能力値
STR 13
QUI 12
DEX 13
CON 15
INT 11
ENP 13
WIL 14
CHA 13

HP 25  AP 9  MP 14
重傷値 7 致命傷値 13 基本回復量 5

技能
<片手槌-1><拳撃-1><視力-2><漁-2>
<聴力-1><追跡-1><植物知識-1> <オーク語会話-4 >

装備
棍棒(クラブ)
毛皮の胴着(ヘビーハイドチュニック)
皮の水袋
保存食(謎肉やキノコ、魚の干物)

子供オーク

 オークの子どもたちは家族で育てられます。幾人かいる妻達はそれぞれ、実子であるかどうかは関係なく面倒を見ます。
オークは人間に比べて成長が早く、おおよそ10年で完全な成体となります。それよりも歳若いオークは基本能力値が低くなります。
子供のオークは成体に比べてHPは低くなります。

子供オークのサンプル

基本能力値
STR 10
QUI 12
DEX 13
CON 12
INT 10
ENP 13
WIL 14
CHA 13

HP 18  AP 11  MP 14

技能
<拳撃-1><視力-1>
<聴力-1><植物知識-1> <オーク語会話-4 >

装備
毛皮の胴着(ヘビーハイドチュニック)
皮の水袋
保存食(謎肉やキノコ、魚の干物)

ハイオーク

 オークの中には、少しばかり文明化した者達のもいます。彼らがハイオークで、身体的には通常のオークとは変わりません。ただ、一般に知力は通常のオークよりも高く、中には魔法を扱う者もいます。文字を扱えるものもいます。また、理知的で、他種族と友好的に暮らすものもいます。簡単な紡績技術や、金属加工(主に鋳造)を持つものもおり、地球の青銅器文明に近い技術レベルにあります。彼らの集落はクフルヴィア世界では東方に少し見られる程度ですが、時折、もっと野蛮な部族と共に暮らしていたり、その指導者になっていたりします。過去の歴史上、偉大なハイオークには、いくつもの部族を従え大きな勢力を築いた者も居ました。

ハイオークのサンプルキャラクター

以下のサンプルキャラクターはオークの集落の指導的立場の戦士です。

基本能力値
STR 16
QUI 15
DEX 14
CON 15
INT 14
ENP 13
WIL 14
CHA 13

HP 25  AP 16  MP 14

技能
<片手斧ー4><拳撃ー2><戦闘経験ー3><視力ー2><統率-2>
<狩猟ー2><聴力ー2><追跡ー1><オーク語会話ー5> <帝国語会話-1>

装備
鉄のバトルアックス
毛皮の胴着(ヘビーハイドチュニック)
皮の水袋
保存食(謎肉やキノコ、魚の干物)

ハーフオーク

オークの男性と他種族の女性の間に生まれた者がハーフオークです。
ハーフオークで最も多いのは人間との混血で、一般にハーフオークといえば、この人間との混血を指します。ハーフオークはその特徴として、生殖能力を持たず、そのためオーク社会では最下層の労働力となります。また、ハーフオークの中には、母親の社会で暮らす者も居ますが、大抵の場合は、差別され、奴隷か、そうでなくても社会の最底辺で生活しているのが一般的です。
 社会的には恵まれないハーフオークですが、身体的には、両親の優れた種族特性を引き継ぐことが多いのは知られています。うまく遺伝的形質が現れた場合は、優れた冒険者になる可能性があります。

以下のサンプルは人間社会で育った猟師のハーフオークです。

ハーフオークのサンプルキャラクター

基本能力値
STR 14
QUI 12
DEX 13
CON 14
INT 13
ENP 13
WIL 14
CHA 12

HP 24  AP 13  MP 14

技能
<片手槍ー3><弓-3><回避-2><視力ー2><隠密-2>
<狩猟ー3><聴力ー1><追跡ー3><動物知識-3><手当て-1><帝国語会話-4>

装備
ショートスピア
毛皮の胴着(ヘビーハイドチュニック)
ソフトレザーパンツ
皮の水袋
保存食(干し肉、魚の干物、固焼きパン)

ゴブリン族

子鬼族、もしくは青鬼族と呼ばれるゴブリン族は、身長が人間の幼児程度の、小型の人型種族です。その矮躯以外に、青い肌と口から飛び出た小さな牙が特徴です。ゴブリン族もオーク族同様に、人間とは敵対関係にあります。
 ゴブリン族は、オーク族に比べて一般に知能が高く、オーク族よりも大きな社会集団を作ります。時には国と呼べるような規模の社会を作ることもあります。
 また、ゴブリン族はオーク族に比べて遥かに文明的で、自ら鉄器を作る技術を持っています。彼らの技術は、自分たちで築き上げたもの以外にも、ドワーフ族などから盗んだものが多くあります。特に鍛冶や冶金に関して間違いなくそうして手に入れたと考えられています。
 ゴブリン族は主に丘陵地帯や山岳地帯の岩肌に洞窟住居を掘って、

そこで生活しています。オーク族も洞窟住居を作ることは、よくありますが、ゴブリン族の場合はその規模が違います。オーク族の洞窟住居は基本的に1家族の家としての機能しか持ちませんが、ゴブリン族の洞窟住居は所属する社会集団1つで、1つの住居を構成します。

 つまり、ゴブリン族の住居(巣穴)には、何十、何百のゴブリンか居住しているのが普通です。ゴブリン族の住居は、人間の住居よりも、蟻や蜂のそれに近い機能を持っています。

ゴブリン族の社会

 ゴブリン族は有力な指導者のもと、大きな社会的集団を作って暮らしています。多くの場合、ゴブリン族は一人の女王と数名の男性の指導者のによって率いられます。通常、男性の指導者は100人から200人程度の集団を指導します。つまり、女王の他に男性指導者5人いるゴブリンの社会は、500人から1000人程度の人口をかかえていることになります。これは人間社会では大きめの村から小さな街程度の規模と言えるでしょう。この規模はゴブリンの住居としては標準的なものです。

 こういった本格的なゴブリンの住居(町?)とは別に、自分たちの住居とは離れたところにもっと小規模な住居を構える場合もあります。それはゴブリンの集団が分裂したときの新たな町の礎であったり、移住地を探すための前線基地であったりします。

 ゴブリンには家族という概念はあまりありません。それは生まれたときから集団で生活する環境にあるからです。ゴブリンの住居は入り口近くは労働者の居住区画になっています。この居住区画には、主に老いて子供を産めなくなったゴブリンの女性が共同生活しています。彼女たちは、毎日住居の外で狩りをしたり、木の実や果物を集め、ゴブリンの集団の食料調達を主に行います。ゴブリンの女性の最期っはこうした食料調達の最中に住居の外で訪れることがほとんどです。

 労働者の区画以外にゴブリンの戦士の居住区画も比較的外界の近くに有ります。ゴブリンの戦士は外敵から彼らの住居を守ることが第一の仕事で、それ以外に大型の獣を命を賭して狩るのも彼らの仕事です。

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