恩寵点はその人物が運命に折り合いをつけて、いかに上手くやっていけるかを表した数字です。恩寵点はキャラクター作成時、基本能力値を決定した際に全員一律に5点が与えられます。また恩寵点はゲームの主人公達の英雄性の証明でもあります。一般にプレイヤーキャラクター達以外は、恩寵点を持っていません。ゲームマスターは特別にNPCに恩寵点を与えても構いませんが、それは重要なNPCのみに留めるべきです。また、ストーリーの都合あるいは単に脚色としてNPCには恩寵点に関係なく、恩寵特典を与えても構いません。

恩寵点の使い方

 恩寵点にはいくつかの使い方があります。恩寵点はキャラクター作成時にも、それから実際の冒険時にも使用できます。また、一度使用した恩寵点はそのまま失われます。恩寵点が回復することはありません。ただし、冒険中に新規に恩寵点を獲得することはあります。

 ◆キャラクター作成時の使用

キャラクター作成過程の、いついかなるタイミングでもプレイヤーは作成途中のキャラクターを諦めて、新たなキャラクターを作成することができます。ただしその場合、作り直したキャラクターは、恩寵点が1少ない状態になります。一度作り直すと恩寵点は4点に、2度作り直すと3点になるということです。

 また、キャラクター作成中、恩寵点を1点使用してダイスを振り直すことができます。あるいは遍歴期のイベントでの死亡を無視することができます。また遍歴期中に年齢効果判定を無視することができます。恩寵点を1点の使用で無視できる死亡イベント、及び年齢効果は、その遍歴期のものだけです。次の遍歴機では、再び死亡イベントや年齢効果を無視するためにはそれぞれ1恩寵点を消費します。これらの不利な効果を無視する恩寵点の使い方は、ダイスを振って、実際にその結果が出てからの使用になります。

 また、キャラクター作成時、恩寵点の使用とは別に出生国を表にしたがってランダムに決定すれば、恩寵点を1点獲得できます。
 逆に、出生身分をランダムではなく任意に選択する場合は恩寵点を1点消費します。

 キャラクター作成時の恩寵点の使い方で恩寵特典を獲得することができます。恩寵特典に関しましては次項に詳しく記述があります。

恩寵点限界

 キャラクター作成過程を経て、残った恩寵点を持って、そのキャラクターは冒険に出るのですが、この時の恩寵点が、そのキャラクターの恩寵点限界となります。冒険を通して新たに恩寵点を得ることがあっても、この恩寵点限界を超えて恩寵点が貯まることはありません。(恩寵点を2残してキャラクター作成を終了した場合、恩寵点限界は2ということになります。)

冒険の中での恩寵点の使用

 キャラクターが実際の冒険に出たあとの恩寵点は、もはや恩寵特典の獲得には使用できません。冒険中は、恩寵点を1点使用することで次のことができます。

  • 自身でした行為判定のダイスを振り直す。振り直す際には行為判定の成功率を2倍にして試みることができます。要求技能レベルを満たしていないなどの理由で、成功率が半分になる場合は、互いに相殺して元の成功率で再判定できます。
  • 自身でした、成功した行為判定の結果を1段階良いものにする。(ギリギリで成功したものが効果的成功になります。効果的成功だったものが、決定的成功になります。
  • 重傷での即死の結果を無視する。
  • 自身に対して行われた行為に対して、相手が使った恩寵点を打ち消す。

恩寵点の増加

冒険開始後、恩寵点は経験点を消費して獲得できます。経験点10点が1恩寵点になります。経験点の恩寵点への変換は、通常のキャラクターの成長と違い、冒険の途中でも、いついかなる時でも可能です。また、恩寵点は、最高で恩寵点限界まで蓄積できます。すでに恩寵点限界まで恩寵点持っている場合は、経験点を恩寵点に交換することはできません。

 また、経験点50点を消費して恩寵点限界を1点伸ばすことができます。こうして恩寵点限界を伸ばして行く場合、その上限はキャラクターのCHAの値までとなります。

恩寵特典

その人物が世界や運命からいかに愛されているかを表す値が恩寵点ですが、恩寵特典はその恩寵点を使ってキャラクター作成時に具体的な特典を得ることが出来ます。これはいうなれば、その人物の先天的な特典で、ゲーム開始後は、恩寵点を消費することによって、恩寵特典を得るはできません。

恩寵特典の表記
恩寵特典はゲーム中では《特典名》で表します。また累積可能な特典の場合は《特典名-累積数》で表します。累積数はその特典を何回重複して獲得しているかを表す数字で、単純に恩寵特典のレベルとも言います。

恩寵特典表

D100
名称
消費恩寵点
特典内容
01-04
視力
1
眼で見て物を見つける知覚判定で成功倍率+2(累積可能)
05-08
聴覚
1
音に関する知覚判定で成功倍率+2(累積可能)
09-12
嗅覚
1
匂いに関する知覚判定で成功倍率+2(累積可能)
13-16
味覚
1
味に関する知覚判定で成功倍率+2(累積可能)
17-19
両手利き
2
利き手でない手での行為判定でも不利な修正がつかない
20-23
心肺機能
1
肺活量や心臓の機能が試される判定で成功倍率+2(累積可能)
24-27
恐怖への耐性
1
死や超自然的現象にもとずく恐怖判定で成功倍率+2(累積可能)
28-31
苦痛への耐性
1
身体的な苦痛への耐性の判定で成功倍率+2(累積可能)
32-35
魔法への耐性
2
魔法への抵抗を試みる際、成功倍率+2
31-35
早足
1
走る際の移動距離が2倍ではなく3倍に。疾走では5倍に。
32-35
美しい容姿
1
交渉や誘惑の判定時に成功倍率+2(累積可能)
36-39
美声
1
歌唱や誘惑の判定時に成功倍率+2(累積可能)
40-43
夜目が利く
1
低光量下での行為判定の成功倍率修正が半分になる。
44-47
毒への耐性
1
毒に侵された場合、その抵抗判定で成功倍率に+2(累積可能)
48-51
病気への耐性
1
病気に侵された場合、その抵抗判定で成功倍率に+2(累積可能)
52-55
大きな身体
1
STRとHPが2増える。鎧や衣服は特別サイズが必要となり価格が5割り増しとなる。
また、鎧や衣服の重量も2割り増しになる。
56-59
小さな身体
1
自身が隠れたり、忍び歩きするときに成功倍率が+2される。鎧や衣服は専用のサイズが必要となり、価格が2割増しになる。
60-63
柔軟な身体
1
身体の柔軟性が問われるDEX判定では、成功倍率が+2される。
64-67
精霊との親和性
1
精霊を召喚、使役する際の召喚技能判定で成功倍率に+2。
68-71
タフな精神
1
内なる魔力(精神力)の上限がWIL+2になる。(累積可能)
72-75
写真記憶
1
情景の記憶を判定する際に、成功倍率+2できる。
76-79
手先が器用
1
手先を使うDEX判定で成功倍率に+2できる。(累積可能)
80-84
努力家
1
技能レベル上昇のWIL判定で成功倍率に+2できる。
85-87
魔力の器(精霊)
1
自身の身体のなかにENPまでの精霊の魔力を漸減させずにたくわえることができる。
88-90
魔力の器(創世)
1
自身の身体のうちにENPと同じ値までの、創世の魔力を漸減させずに蓄えることが出来る。
91-94
魔法の素養
2
魔法を使うことが出来る。魔法を使うには必須
95-96
魔法の武器
1
魔法の武器を持っています。
97-98
魔法の鎧
1
魔法の鎧を持っています。
99-100
忠実なペット
1
忠実なペットを連れています。

恩寵特典を選ぶには、2つの方法があります。ひとつは全くランダムに決定する方法で、ダイスを振り、恩寵特典表の当該特典を得る方法です。この方法は一度獲得を試みるごとに恩寵点を1点消費します。

 もう一つの方法は、恩寵特典表から任意に特典を選ぶ方法です。この場合は恩寵特典表に記載された消費恩寵点の分だけ、恩寵点を消費します。恩寵特典は全く取らなくても構いませんし、すべての恩寵点を消費するまで獲得しても構いません。また、ランダムな選択と任意の選択を混ぜて獲得しても構いません。恩寵特典を取らずに残った恩寵点は、ゲーム開始後には冒険中に使用しますが、恩寵特典は、ゲーム開始後はもう選択できません。恩寵特典は持って生まれた天賦の才です。なお、恩寵点もゲーム開始後は中々増えませんので、すべてを特典に使用するのは冒険のリスクを高めます。

特典の発覚(選択ルール)

 この選択ルールを使用すると、ゲーム開始後も恩寵特典を獲得することができるようになります。このルールはキャラクターの能力の強化という意味では効果がありますが、キャラクターが任意に選んだ恩寵特典をゲーム開始後に獲得できることは、同じような特典(ゲームプレイに有利な?あるいは便利な特典を皆が獲得するようになって個性が失われる可能性もあります。この選択ルールを使用する場合は新規に獲得する特典はランダムに選択するのみにするか、もしくはゲームプレイを通じて何らかの偉大なクエストの成果として、特別に神々の寵を受けた表現があることが望まれます。
 特典の発覚のルールで恩寵特典を獲得する場合は、恩寵点を2倍消費します。また同時に恩寵点限界も減少します。例えば恩寵点限界4、現在の恩寵点が2のキャラクターが消費恩寵点1の恩寵特典を新たに獲得したならば、恩寵点限界は2、現在の恩寵点の残りはゼロになります。当然ながら、必要な恩寵点が支払えなかったり、恩寵点限界の引き下げを行えるだけの恩寵点限界がない場合は、特典の発覚はできません。

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